eが無理数であることの証明

こんにちは.今回はeが無理数であることの証明をします.証明の前提として,2<e<3は既知とします.

[証明]

e有理数であると仮定,つまりee=\frac{m}{n}のようにおきます(ただしm,nは互いに素な正の整数).

テイラーの定理から,

 \displaystyle\frac{m}{n}=1+1+\frac{1}{2!}+\frac{1}{3!}+・・・+\frac{1}{n!}+\frac{e^{\theta}}{(n+1)!}=\sum_{k=0}^{n}\frac{1}{k!}+\frac{e^{\theta}}{(n+1)!}

となる0<\theta<1が存在することが分かります.*1ここで両辺にn!をかけると,

 \displaystyle m!(n-1)!-n!\sum_{k=0}^{n}\frac{1}{k!}=\frac{e^{\theta}}{n+1}

が成り立ちます.この式の左辺は整数です.

m!(n-1)!

はもちろん整数ですし,

 \displaystyle n!\sum_{k=0}^{n}\frac{1}{k!}

も,

 \displaystyle n!\sum_{k=0}^{n}\frac{1}{k!}=n!+(n-1)!+・・・+1!

より整数だからです.ゆえにイコール関係にある右辺も整数のはずです.また,右辺の\frac{e^{\theta}}{n+1}は,ゼロより大きいため,正の整数(1\leq\frac{e^{\theta}}{n+1})ということもわかります*22<e<3と,0<\theta<1を利用して,右辺を評価します.

1\leq\frac{e^{\theta}}{n+1}<\frac{3^{1}}{n+1}=\frac{3}{n+1}

となりますが,\frac{e^{\theta}}{n+1}が正の整数という仮定から,2\leq nのとき正の整数にならず,仮定に反するため,n=1です.ゆえにe=m(正の整数)ですが,2<e<3に反する.(2より大きくと3より小さい整数は存在しない.)

ゆえにeは無理数ということが示されます.

*1:左辺のnと右辺のnは同じものを使っていますが,これはマクローリン展開の分子の階乗の部分に自然数の階乗が必ず出現することから同じnを使ってもよいことが分かります.

*2:2<e<3より,\frac{e^{\theta}}{n+1}>0となり,これが整数だったことと合わせると,1\leq\frac{e^{\theta}}{n+1}です(正の整数です).