2<e<3の証明(eはネイピア数)

スマホでうまく表示されるかが不明なのでpcでの閲覧をお勧めします.

前回ネイピア数e無理数であることを証明した時には2<e<3が成立していることを前提にしましたが,今回はこの事実を証明します.最初に簡潔な証明を載せるので,理解できない部分は後述の詳しい証明で確認してください.

[証明(簡潔Ver.)]

(1)2<eを示す

eのマクローリン展開から,e=1+1+\frac{1}{2}+・・・>2である.

(2)e<3を示す.

n\geq 3をみたす任意の整数nで,\frac{1}{n!}<\frac{1}{2^{n-1}}が成り立つことが数学的帰納法から示されるため,

e=1+\frac{1}{1!}+\frac{1}{2!}+\frac{1}{3!}+・・・+\frac{1}{n!}+・・・\\<1+\frac{1}{2^0}+\frac{1}{2^1}+\frac{1}{2^2}+・・・+\frac{1}{2^{n-1}}+・・・\\=3

であるから,e<3である.

(1)(2)まとめて,2<e<3が示された.

[証明(長いVer.)]

eマクローリン展開より,

\displaystyle{ e=1+\frac{1}{1!}+\frac{1}{2!}+\frac{1}{3!}+・・・+\frac{1}{n!}+・・・\\=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{n!}}

である.

(1)2<eを示す

こっちは簡単です(というか上のマクローリン展開から明らかに成り立ちますが).

一応証明すると,eのマクローリン級数は,各項が正の正項級数であるから,

e=1+\frac{1}{1!}+\frac{1}{2!}+\frac{1}{3!}+・・・

この級数は2より小さくなることはない(もっと強い意味では2.5よりも大きいということもわかる).

つまりe=1+1+\frac{1}{2}+・・・>2である.

ゆえに2<e

(2)e<3を示す.

\displaystyle e=1+\frac{1}{1!}+\frac{1}{2!}+\frac{1}{3!}+・・・+\frac{1}{n!}+・・・

この式を,<の向きの不等式を使って,何らかの定数でおさえることを考える.

e=1+\frac{1}{1!}+\frac{1}{2!}+\frac{1}{3!}+・・・+\frac{1}{n!}+・・・\\<1+\frac{1}{2^0}+\frac{1}{2^1}+\frac{1}{2^2}+・・・+\frac{1}{2^{n-1}}+・・・

がもしも成り立つならば,この不等式の最後(の式)は,

1+(初項が1公比が\frac{1}{2}の無限等比級数)=3

と考えられるので,eが3より小さいことを示すことができる.この不等式はn!>2^{n-1},つまり\frac{1}{n!}<\frac{1}{2^{n-1}}n\geq 3)が成り立つことが前提となっているため,これを証明する.今回は分数が入っていないn!>2^{n-1}の方を数学的帰納法により証明する(二つの式はn\geq 3の下で同値であるからどちらを証明してもよい).

n=3のとき明らかに成立.

n=kk\geq 3)のときに成立すると仮定してn=k+1のとき,

(k+1)!=(k+1)\times k!>(k+1)\times 2^{k-1}

ここでk\geq 3より,k+1>2なので,

(k+1)\times 2^{k-1}>2^k

となるため,結局(k+1)!>2^kが示された.

ゆえにn\geq 3をみたす任意の整数nで,\frac{1}{n!}<\frac{1}{2^{n-1}}が成り立つ.ゆえに,

e=1+\frac{1}{1!}+\frac{1}{2!}+\frac{1}{3!}+・・・+\frac{1}{n!}+・・・\\<1+\frac{1}{2^0}+\frac{1}{2^1}+\frac{1}{2^2}+・・・+\frac{1}{2^{n-1}}+・・・

の不等式も成り立つことが示される.よって,

e<1+\frac{1}{2^0}+\frac{1}{2^1}+\frac{1}{2^2}+・・・+\frac{1}{2^{n-1}}+・・・\\=1+\frac{1}{1-\frac{1}{2}}\\=3

となり,e<3が示された.

(1)(2)まとめて,2<e<3が示された.

 

はてなブログTex記法があまりわからなくて,雑な数式の表示になってしまって申し訳ないです.次回からはTexの画像を張り付けることも考えます.